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【石川】国産・地元素材の焼き菓子で癒しの時間を提供するカフェ『こびり』

解放感のあるおしゃれなカフェにケーキを食べに行きたいわけではないけれど、家に帰って袋菓子を食べる気分でもない。

ホッとくつろげて、心にも体にもやさしいおやつが食べられて、まるでおばあちゃん家を訪れたときのような安心感のある場所でくつろぎたい。

そんな気持ちのときにぴったりの癒しの場所が、ここにあります。

石川県能美市にある、「焼き菓子 こびり」です。

わたしの地元(加賀市)では、 主に野良仕事の合間に食べるおやつ(おにぎりやお菓子)を「こびり」といいます。

「おやつ」→「小さいお昼」→「こびる」→なまって「こびり」、です。

公式サイトより

こびりが大好きだという店主さん。自分が作るお菓子が、食べた人のがんばる力になれたらとの願いを込めて、店名を付けたのだそうです。

長い廊下を抜けたら、くつろぎの空間

本当にここにあるの?と思わせる外観ですが、大丈夫。黒板の文字を信じてずんずん進んでいきましょう。

あちらこちらに植物やかわいらしい人形、びっくりするようなものがあります。

天井にある丸いオブジェは、ぬいぐるみ作家さんの「蟻の家」という作品だそう。イベントのフライヤーやショップカードコーナーも。

ちょっとした探検気分で長い廊下を進んでいくと、お店のドアを発見。

寒い冬の日だったのですが、引き戸を開けて1歩足を踏み入れると、しっかりと温められた店内の空気が迎えてくれます。

のんびりと1人時間をくつろげるようにとの配慮からか、広めに間隔がとってある店内。

ちゃぶ台の小上がり席が2つ、長テーブル席が1つ、 学校の机を利用したひとり席が2つ用意されています。

縁側が臨めるちゃぶ台席も好きですが、今回は学校の机の席をチョイス。

彫刻刀で掘ったであろう落書きにいろいろな想像が膨らみ、思わず口元が緩みます。

国産・地元を意識した食材で作られた焼き菓子

レトロな雰囲気の木枠のショーケースに、ずらっと並ぶ焼き菓子。

マフィンやホットビスケットなど、20種類近い焼き菓子が並びます。

ふふっと笑ってしまう、ネーミングのクッキーも。(ねこズと、傷ねこズです。もちろん両方買いました)

この日はバレンタインデーだったこともあり、チョコ系の商品はほぼ完売。

どれもおいしそうなので、悩みに悩んだ挙句、季節限定品と定番品をチョイスしました。

いちごとココナッツのマフィンと、ホットビスケットです。

飲み物は、加賀棒茶のホットをオーダー。丸八製茶場さんの献上加賀棒茶でおかわりもついてきます。

こびりさんのお菓子は、バターや牛乳などの動物性の食材を使わず、米油や豆乳、お豆腐など植物性の材料で作られています。

ヴィーガンやオーガニックをうたってはいませんが、北海道産の小麦粉や地元の米粉を使用したり、北海道のてんさい糖やカナダのメープルシロップ、地元の米あめなどを使ったりなど安心・安全な食材を選んでいるのが伝わってきます。

季節限定のいちごとココナッツのマフィン。

上に乗ったいちごはそのままだと酸っぱいので、いちごジャムと和えて酸味を抑えているのだそう。

提供前にトースターで温めてくれたおかげで、いちごとココナッツの甘い香りがより引き立ちます。

ふんわりとしていて、ぱくぱく食べられちゃいます。

定番のホットビスケットは、店主さんの一押しです。小麦粉、米油、豆乳、アーモンドプードル、キビ砂糖と材料はとてもシンプル。甘さ控えめなので、朝食にも良さそうです。

付け合わせのきな粉とメープルシロップ、ハチミツをつけて食べ終えました。

本当に「こびり」といえる、ボリュームに大満足。

加賀棒茶についてきた焼き菓子を口に入れて、窓を眺めると雪がちらついていました。

寒い時期には、お冷ではなくお白湯を持ってきてくれる心くばりも、嬉しいポイントです。

年齢問わず愛されている癒しのお菓子屋さん

1人でぼんやり座っていると、お客さんがひっきりなしにやってきます。

1人で買いに来ている女性や、バレンタインのギフトを選びに来ている学生風の女の子たち。常連と思しき近所のおばちゃんや、ご年配のご夫婦。

テイクアウトの方の表情をチラリとみてみると、皆さん一様に、大事そうにお菓子の入った袋を抱えています。

喫茶を楽しんでいる方も、自然とひそひそ声で話してしまう。そんな静けさと和やかさが同居した心地よい空間です。

雪が降ったり、晴れ間が見えたりと忙しない冬の北陸の空ですが、その空模様を眺めに、ホッと一息つく場所として訪れてみてもいいかもしれません。

お菓子作りも接客も電話応対も全て1人でされている、小さなお店です。

時間と気持ちに余裕を持ってお出かけしてみてくださいね。


ライター:CHIHIRO

オーガニック&フェアトレード店で約8年勤務。地産地消に目を向けるべく、稲作農家でパート中のライター。趣味は旅行、読書、薬膳の勉強。バルト三国とフィンランドに取材に行くことが目標。好きな言葉はThink Globally, Act Locally.

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