CLIP'STYLEインタビュー

【西川礼一】特化するから質が高まる。値段じゃなく“価値”を伝えられる人に

ALIVE 代表 西川礼一

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今、若手の美容院経営者として注目度No.1と言えるのが、表参道・原宿にサロンを構える西川礼一だ。表参道に1店舗目をオープンしたあと、わずか2年半後に原宿で2店舗目を開業、現在はオンラインサロンにて800人近いプロを相手に経営のノウハウを伝授している。店舗増やスタッフ育成、セミナー講師として幅広く活躍する背景には、何でもできるサロンではなく“絞り込みメニュー”があった。

今は経営業に専念する西川さん。以前は美容師という職業に就いていた理由は

高校2年くらいのときに『ビューティフルライフ』(2000年に大ヒットした美容師が主役のテレビドラマ)を観ていて憧れたのと、当時の「カリスマ美容師ブーム」の影響でたびたびメディアに登場する美容師がかっこよく見えたのがきっかけです。元々クリエイティブな仕事がしたかったのもあり、手に職をつけるなら一番わかりやすい美容師がいいなと。結局のところモテたかったんですけどね(笑)。

大阪の美容学校を卒業したんですが、就職は憧れの地、表参道を選びました。僕、根拠のない自信があって、有名サロンの面接を受けた時点で「受かったな」って思ってたんです(笑)。本当に運よく受かって、独立するまでの約9年間そのサロンに在籍していました。その後、美容院として営業できる設備の整ったワンルームマンションでひとり、独立準備をしながらサロンワークをすること半年間。最初に『ALIVE omotesando』、2年半後に『ALIVE harajuku』をオープンしました。

美容師になった頃から経営者を目指していましたか

経営者になろうと思って独立した訳ではなく、僕は独立するのが自然な業界だと思っています。ほとんどの人がいつかは自分のお店を持ちたいと思って始める業種だから。在籍していたサロン自体は好きだったしやりがいを感じてはいましたけど、僕も自分のお店を持ちたい気持ちはいつもありました。

9年もやっててなんですが、実は美容師に向いてないと思ってたんです(笑)。つくることは好きだけど、あらゆるタイプのお客様と話が合うかって言われればそうでもない自分がいて。感情のコントロールが得意じゃないから、すぐ表に出ちゃって顧客がつきにくい。美容師としては三流以下だったかもしれませんが(笑)、それを根性で乗り越えてきたタイプです。我が強くて、もっとこうしたらいいのにというアイデアだけは絶えずあって、それを100%反映させたお店をつくろう、と思った結果が“独立”でした。

ALIVEは絞り込んだメニューが特徴的ですが、オープン当初からそうでしたか

メニューを絞ろうと思ったのはもっと後です。僕の中にあった「お客様を呼べるメニュー」に必ずあったのが“カラー”で、カラーを絡めたメニューの提案で新規集客をしようというアイデアがありました。新規で来店された場合、パーマは髪のコンディションにすごく左右されたり、カットは希望にもよりますが1年くらいかけてカットラインをつくりあげる必要があったりしますが、カラーはたいていのお客様にすぐ施術することできます。カラー需要が高いというのもわかっていたから、それをメニューに入れれば集客しやすいんじゃないかと思ったんです。

メニューを絞り込んだのは、オープンして1年後くらい。クーポンサイトに掲載することになって、たくさんライバルがいるサイト内でどうやってお客様に見つけてもらえるかって考えたときに、やっぱり検索されるワードを意識したメニューづくりをしないといけないなと思いました。お客様が最初にどんな検索をするのか色々調べて出てきたのが、まずグラデーションカラーで、その後にハイライトでした。そうした絞り込みメニューにしてから、めちゃくちゃお客様に来ていただけるようになりました。

メニューを絞り込むことでデメリットがありそうですが

僕はないと思ってるんですけどね。工場で例えると、同じものをつくり続けている方が絶対効率いいと思うんです。ひとつのラインの中で、お菓子もやってラーメンもやってお弁当もやったらすごく効率悪いじゃないですか。ひとつのものに特化してやるから大量生産できます。美容院も同じで、いろんなメニューをやろうとするとどうしても回転が悪くなるんですよ。その点カラーだけなら、塗るのに数十分かかるくらいで浸透させる間に他のことに時間を割けます。絞り込んだメニューの方が作業効率が上がるし、クオリティーも上がる。だから僕はメリットしかないと思っています。

これからの美容院は専門店化がどんどん進んでいき、何かに強みを持ってそれを売りにするお店がますます増えていくと見ています。何でもできる美容師を育てるよりも、特化した技術を磨く方が高いクオリティーを保て、かつ時間のロスも少ないですし。これまでも実はそうだったんですよ。美容師は技術職だから、すべてをできるよう教育を受けてきた諸先輩方だって、やはり得意なものは限られたひとつだったりします。あらゆるメニューをカバーしていることが、必ずしも売れるサロンとは限らないんです。

ALIVEでは美容師歴の浅いスタッフが活躍していますね

僕はとにかくやらせています。やらせない利点なんてないと思っているし、スタッフのためにはなりません。自分でやってみてはじめて「これ難しいけど、こうすればいいんだな」という気づきや学びがあります。見てるのと実際に手を動かすのは全然違うじゃないですか。僕は、頭の中で考えているだけじゃなくて、どんどんやって欲しいと思っているんです。

よくあるのが、例えば何かの勉強会をやるときに「1年生を呼んでもわからないから、スタイリストだけでやろう」という場面。どうせ理解できないだろうって子ども扱いするのは非常に危険だと思っていて、いたらいたなりに学べるはずのことを奪っているから、教育に時間がかかるのではないかと。できるよね、わかるよね、って目で見てあげることが大事です。

これからのスタイリストに必要なことは

やはり強みを持つことでしょうか。今はSNSを見てお客様が来店される時代なので、発信力や活用術を心得ておくべきです。フォロワーの多い人は、安さを売っているのではなく、価値を伝えられている人。逆に言えば、素敵、ワクワクする、カワイイ、オシャレ、綺麗、といった感情を揺さぶることのできない美容師はお客様を呼べない時代でもあります。どんなお客様に来て欲しいのかを、美容師が発信していかないと生き残れません。厳しいようですが、自分の目指す美容師にいくらでもなれる時代だし、発信する側が自由に投稿できるSNSは非常に有利な存在ですよね。

今後の西川さんの夢は?と問うと「ALIVEを、日本を代表するブランドサロンにすること」と即答。「あとは漠然とですが業界を良くしていくことができれば」と話す。早くもその第一歩に、これからの新しい働き方として期待が高まるフリーランス美容師のためのシェアサロン『F』のオープンが11月に控えている。ALIVEオリジナルのカラーキープシャンプーも好調に売上を伸ばしており、美容師としては三流と謙遜しているが、経営者として間違いなく存在感を高めていくだろう。

 

ALIVE SHAMPOO ムラシャン

ALIVEのサロンワークから生まれたカラーキープシャンプー

プロフィール

西川礼一

ALIVE 代表

1982年、高知県生まれ。都内の有名サロンを経験ののち独立。2012年『ALIVE omotesando』、2014年『ALIVE harajuku』をオープン。新卒入社して2年で技術売上200万円を達成するスタッフを育成。無駄を省き効率化を重要視したメニューづくりや教育に注目が集まる。集客のスペシャリストとして全国各地におけるセミナー活動にも従事。