CLIP'STYLEインタビュー

【坂狩トモタカ】興味と努力を武器に変えるプロデューサー

AnZie 代表 坂狩トモタカ

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メディアで飛び交う流行語の多くが「#(ハッシュタグ)」から生まれる現代。ハッシュタグで話題になったワードが、人気のヘアスタイルやメイクとして雑誌で特集を組まれるほどだ。表参道にある『AnZie(アンジー)』は、それを牽引しているサロンのひとつ。AnZieでの取り組みや代表としての考えを坂狩トモタカに聞いた。

坂狩さんが美容師になったのは美容院でのアルバイトがきっかけだと聞いています

僕こう見えてものすごく飽き性なんです(笑)。それで色んなバイトを高校生の時に転々として。ただ唯一、美容院は違いました。お客様との会話や下手だと怒られる技術に対し責任を感じて、この仕事なら続くなと。めっちゃくちゃ怒られてばっかりでしたけど、楽しめていたんです。そのまま就職してもいいかなって、父にそのことを話すことにしました。当時、福岡の進学校に通っていたし、父からしたら美容師という職業にあまりいいイメージないかもしれないと思いながら。ところが父としては職業がどうこうというよりも、なるまでの過程を大事に考え「美容師やるんだったら、ちゃんと東京の学校に通わないと」と言われ。思いがけず東京に行ける!ラッキーって思いました(笑)。第一志望だった資生堂美容技術専門学校へ通ったあとサロンで働くようになったんですが、僕、とにかく早くスタイリストになりたかったから、1年目は何もせずに家に帰ったことはないんです。

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今はSNSなどで自分をアピールする場がいくらでもありますが、僕らの時代ってそういうのがなかったし、上にはスター的な存在の先輩方がたくさんいたから、どうやって這い上がっていこうかと少なからず危機感を持ってやってました。そのサロンで一番になるには、そこで一番努力しなきゃいけないじゃないですか。朝一番早く来て、夜は一番遅くまで残ってやっていくというのは当たり前で。帰ろうと思って外に出ても、他の美容院で残ってやっている人の姿を見たら、もう一度お店に戻っていたくらいストイックでしたね。当時、1日の平均睡眠は3時間程度。それだけやっていて、しかもカットやカラーの試験に受かったにもかかわらず、ずっとシャンプーしかやらせてもらえなかったんです。サロンの中だけの評価にこだわらず、外部に評価してもらおうと考え方を変えました。休みの日を利用して作品をつくってはコンテストに出してみたり。そしたらだんだん誌面に掲載されるようになっていって。その頃からですね、自分のデザインというものを創造し、それを一眼レフやデジカメで撮るようになったのは。

世界観にこだわって発信しているAnZieの原点は坂狩さんの経験からなんですね

それはあると思います。今ってSNSやブログで発信していない美容師は、息していないのと同じくらいに見なされる時代じゃないですか。仕事ではないけれど仕事のひとつみたいな。だから発信していくというのをカルチャーにしていかないと、と思うんです。結局僕ら美容師って受け身なんですよ。その辺にいる人を捕まえて髪切らせてもらう訳にいきませんから。お客様がサロンにいらっしゃって、はじめて施術できるんです。その点SNSは自分から発信できるツールで、発信することが看板になる。ただ、それだけをやっていても仕方なくて、そこにはやはり技術というしっかりとした受け皿が必要です。組織にとっての僕の役割は、安定した技術を提供しお客様に信頼していただくこと。スタッフにはそれぞれの持ち味を生かした発信をしていって欲しいと思っています。

作品づくりや撮影でスタッフに指導していることは

自分自身にもっと興味を持つこと、色んなことに好奇心を持つことですね。言われてやるのは頭を使っていないのと同じなので、自分から見つけてやる姿勢が大切だということも。あとは細かく目標を持ち、その目標に対してどの道を選ぶのかも重要なので、僕はそこをプロデュースする役目があると思っています。

AnZieというサロン名の由来は、天使のAngelをもじっているのと、“g”をAtoZ(何から何まで)の“Z”に置き換えて多様化という意味合いを持たせています。このスタッフにはこういうことが向いているなとか、こんな攻め方がいいんじゃないかなと、ひとりひとりの個性を引き出しそれを武器にしていくというやり方がAnZie。個々の良さを見つけられる、そんな代表でいようと心がけています。

週に1回、サロンのオープン前にやっている「あさびよう」は、スタッフひとりひとりが何をやっていきたいのかを発見する場で、つくった作品を発信する習慣をつけて欲しいという狙いもあってはじめました。サロンワークではお客様の対応に追われ、休日はセミナーの講師をしたりで、なかなかスタッフがつくるものを見れない分、僕の時間をプレゼントしようって。必ず皆のつくった作品を見ては突っ込んでいます(笑)。「あさびよう」をとおして、可愛いものをつくることやデザインすること、発信することの楽しさを味わってくれればいいなと。

週1で行っている「あさびよう」

数多くのメディアに登場されてもなおコンテストに挑戦し続けていらっしゃいますね

あれは完全に趣味でやっています(笑)。受賞することがセオリーなんて思っていません。デザインすることが好きだから、自分の表現したいことをつくるだけのことです。コンテストってかなりのバイタリティーが必要で、普段のサロンワークをしながらどこまでクリエーションできるか、自分をどこまで奮い立たせられるか、そんな好奇心しかありません。これからもやりますよ。自分がつくりたいものがクリエイティブじゃないと楽しめませんからね。

40代、50代になってもずっと美容師を楽しんでやっていると思います。僕は直接お客様の声を聞きたいから、サロンワークは続けていたいです。お客様との出会いは一期一会じゃなくて、その人の人生にかかわるのが美容師という仕事。そんな関わり合いが実はプライスレスなんですよ。髪を切るだけではなく、切ったことでお客様の気分を高め、その先に何を表現できるか。そこまでの可能性を探っていきたいと思っています。

トーマス・エジソンは昔言った。「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」と。これを体現した美容師が坂狩トモタカだ。爽やかな笑顔に隠された、ストイックで努力家の一面。自分の表現したい作品づくりへの貪欲なまでの情熱は、自ずと若いスタッフに受け継がれている。AnZieから発信される新しいハッシュタグが待ち遠しい。

 

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坂狩が監修をした『STYLE CLUB for CURL(スタイルクラブフォーカール)』。

とれかけパーマをくっきりツヤカールにする「RIDGE JELLY(リッジジェリー)」、まとめ髪のアレンジカールに最適な「CURLY WAX」、パーマや巻き髪のシルエットキープに「HAIR MAKE SPRAY」。彼がデザインする“動く髪”に欠かせないアイテムのひとつ。

プロフィール

坂狩トモタカ

AnZie 代表

1983年、福岡県生まれ。都内のサロンを経て『newshotel(現AnZie)』へ。2015年『AnZie』のリニューアルオープンと同時に代表就任。同年、JAPAN PHOTO CREATIONアート部門チャンピョン。ミルボンフォトレボリューション2016デザイナー賞、アリミノフォトプレゼンテーション2016FA賞を受賞。他、コンテスト受賞歴多数。あらゆるメディアで活躍する以外に、セミナー講師として全国を行き来する。

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