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【大河内隆広】組織のトップは人に好かれなきゃ!数十年先まで生き残れるサロン経営を

試しに「美容室 社長」とネット検索してみて欲しい。1ページ目の一番上に表示されるのが今回のインタビュイー、大河内隆広のブログだ。現在、ヘアサロン『個室型美容室GULGUL』『Hair&Make smoos’』と、アイラッシュサロン『Grace EYE’s』を東京・千葉で計7店舗展開し、オンラインサロン『NO LIMIT』では講師を務める大河内に話を伺った。

GULGUL 美容室社長 GULGUL表参道店 大河内隆広 個室型美容室 プロジェクションマッピング NOLIMIT

 

美容師を経験後、美容メーカーに5年間勤務した異色の経歴をお持ちですね

僕、子どもの頃は一度も美容に興味を持ったことがなかったし、大きくなってからも美容師になりたい!という夢はなく、母が持ち帰った美容学校のパンフレットを見て「普通の高校に通うよりも面白そうだな」くらいの感覚で入学し、気づいたらなってました(笑)。当時から、美容師は独立するのが自然の流れだと思っていたけれど、ガラス張りで60坪の大型店が主流だった美容業界で、僕個人がやっていくのは難しいと感じて。美容師から一旦離れ、美容メーカーで働いてみようと決意したのが25歳のときでした。

 

そのときの経験は生かされていますか

実はそれほどないと思っています。いや、あるのかなー(笑)。テレアポして相手の会社へ営業訪問しに行くじゃないですか。当然、いつも上手くいくわけではないので、「断られることがベースの営業」というのは身についたと言えます。街で営業する美容師もそんな心構えでやればいいんだと、スタッフには何気なく言っているのかも。

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「スタイリストデビュー」までの道のりについて

早い内になる方がいいと思いますよ。スタイリストになってからですからね、だいたい伸びるのって。アシスタントでいくら頑張っても限度があるんですよ。スタッフをいかに挫折させないかが重要で、うちでは独自の「回数制度」を採用しています。OJT(職場内訓練)とOFF-JT(職場外研修)をしっかりやるのがスタイリストになる一番の近道だから、実践で数をこなし伸ばしていくんです。OJTっていうと「お客様を練習台にするな」なんて意見もありますが、やはり大事なステップだと考えています。

 

女性スタッフがたくさん活躍されていますが、どんな環境づくりを?

基本的には、新卒入社してそのうち結婚し出産、産休取得後また戻ってきて欲しいと願っています。都心とは違って、郊外ではそういうスタッフが増えないとサロンは生き残れません。年月をかけてキャリアアップしてきたスタッフが、長く続けてくれるかどうかは環境次第。

とは言っても、うちは定まったものを用意してないんですが(笑)。スタッフそれぞれに合わせた働き方を、直接話し合いながら決めるスタイル。現在60人くらいのスタッフ数だから全員の顔が見れているし、一人ずつとコミュニケーションを取りながら、その場で雇用契約書を渡しちゃった方がいいでしょ。ま、ハッキリ言ってしまえば何も決まってないけれど、カッコ良く言えばオーダーメイドで対応しています(笑)。

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悩みを抱えるスタッフへのアドバイスは

そんな堅苦しく考えたことなかったなー(笑)。ダイレクトに“こう”って示すんじゃなくて、スタッフに気づかせるようにアドバイスしてるかな。だいたい悩んでるときって、一方通行で偏った見方しかできていない場合が多いんです。だから二方向目と三方向目の見方があるんじゃないの?って、違う側面に目がいくよう促しています。

 

大河内さんがブログをやる理由、メリットは何でしょう

求人が大変だったから最初はリクルートの一環でやっていました。今はだんだんブログをやる理由がなくなってきちゃったんですよね。僕は社長として美容師向けに書いているんですが、美容師が美容師向けに発信しているブログが多いでしょ?あれはどうなんでしょうね。お客様に向けて書いた方がいいのではという気もします。「僕と同じような発信をしても意味ないよ」って言ってるから、うちのスタッフはお客様向けにしか書いていません。美容師は“伝える技術”が必要な職業ですが、文章で伝えられる人はごくわずか。SNSは簡単にできるし現にやっている人が多いけれど、ブログはまだまだ少ないです。だからこそやる価値があります。

ブログをやっていて何がいいんだって聞かれると、正直困るんですけどね(笑)。「ブログ=集客」にはならないので。何万人って美容師がいて、ブログやインスタで集客できる人は5%にも満たないんじゃないでしょうか。“集客”って何人からを指すのか分からないけれど、やっぱりコンスタントに月平均20~30人は来て欲しいはずです。たった2,3人の来店でも“集客”といえるのなら、僕の美容師向けに書いているブログだって「集客できてる」って言えちゃいますもん(笑)。

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経営者として大切にしていることは

人望でしょうね。とにかく人から好かれていれば、あとは何でもいいかなって思っています(笑)。

 

人から好かれるために何かしてますか

ないなー。ごはん奢るとかかな(一同爆笑)。

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オンラインサロン『NO LIMIT』が「2店舗目出店を目指す」をコンセプトにする訳

今の“独立”の流れって、一人で小型出店するかフリーランスかでしょ。それで何年やるつもりなんだろって思っちゃいます。一度独立したあとで、上手くいかなくなったから別のところでお給料もらいましょ、というのはすごく難しいです。独立って定年になるまでやるってこと。たとえば30歳で独立し70歳で定年とした場合、あと40年あるわけです。その間に何が起こるか分からないのに、1店舗だけで続けるのはリスクが高過ぎます。特に美容師は体を使う仕事だし、30年40年やっていく中でずっと健康でいられる保証などどこにもありません。小さく構えれば構えるほど、長くやればやるほどリスクが高くなると思います。

独立して一人二人だけで最初の10年をやるのは割と簡単なんです。でも、次の第二クールである10年から20年を迎えるのはすごく大変。他のオーナーの真似をして小さく構えている人がいるけれど、2店舗目を出すノウハウを知らずにそうしているのと、知っててやらないのとでは大きな違いがあります。どうせやるなら、店舗数を増やしていく知識を持っておくべきなんです。そのうえで小規模経営すればいいのにって。

 

大河内さんの今後の展望は

会社をもっともっと大きくしていきますよ。それが店舗数なのかは分からないけれど、ずっと成長し続けられる会社を目指します。増えるというスピードは時代によって変わると思うので加速度は別としても、年々スタッフと店舗が増えていく組織をつくり続けたいです。

3年続けている「週一美容師」は、お客様が誰も来なくなるまでやるつもりでいます(笑)。

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編集後記

「ごはんを奢ること」が人から好かれる秘訣だと周囲を笑わせた大河内だが、誰に対してもフラットで、飾らない人柄が彼の最大の魅力である。2017年9月、「ぶっ飛んだ事が好き」な彼が表参道にオープンしたサロンは、受付の代わりにプロジェクションマッピングがお客様を出迎える。待合席も店販棚も邪魔だったら取っ払ってしまえばいい。こんな型にはまらない柔軟な発想も、彼の下に人が集まる理由のひとつに違いない。

 

プロフィール

都内の美容専門学校を経て18歳で美容師に。25歳で美容メーカーへ転職。30歳の誕生日に『個室型美容室GULGUL』1号店をオープン。現在、ヘアサロン『個室型美容室GULGUL』『Hair&Make smoos’』と、アイラッシュサロン『Grace EYE’s』を東京・千葉で計7店舗展開している社長。2017年3月から始まったオンラインサロン『NO LIMIT』では財務のスペシャリストとして講師を務める。

GULGUL 美容室社長 GULGUL表参道店 大河内隆広 個室型美容室 プロジェクションマッピング NOLIMIT

大河内隆広
GULGUL 社長

 

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