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【松浦美穂】今年は頭皮ケア元年。今後のヘアケア製品は「サイエンスの力」が肝

一人一人の個性と感性に添ったヘアスタイルを提案し続ける、東京神宮前のヘアサロン『TWIGGY』。オーナーでヘアスタイリストの松浦美穂は、“自然治癒力”に着目し国産にこだわったヘアケアプロダクツ「ユメドリーミング エピキュリアン」を2011年に発表した。今年リニューアルされた「TWI(ツイ)」シリーズは、ボタニカルサイエンスという考えのもと2016年に誕生したものだ。女優やモデルなど数多くの著名人から支持される松浦が、なぜヘアケア製品を重視し開発・発売するに至ったのか話を聞いた。

渡英された経験が「ユメドリーミング エピキュリアン」の誕生につながったとか

ロンドンへ渡ったのが1988年。日本でも人気のアロマ専門店『ニールズヤード』が、観光地化されたコベントガーデンとは別に、カムデンタウンに薬局をつくったんです。それが1989年のことでした。ホメオパシーをはじめ、フラワーレメディ、ハーブティー、ハーブを使った健康的な食品のお店。そこで店長をしていたナディアとの出会いが、私の人生を大きく変えることになりました。

ロンドンで息子を産んだ私は、いつもベビーカーを押してナディアのいるお店に行き、英語の勉強を兼ねながらホメオパシー、フラワーレメディ、東洋医学の勉強をしていたんです。

それまでの私は、実家が美容院だったこともあり早い時期からケミカルな業務用の製品を使っていたり、「六本木美容室」時代も夜な夜なお酒を飲んだりダンスをしたりの生活。その結果が息子にアトピーとして出てきてしまって。そんな状況を見かねた彼女が、自然の力を使った健康法のアドバイスをしてくれたんです。彼女の教えからいいとこ取りをしたのが「ユメドリーミング 」。

製品をつくろうと思ったのは今から15年前。TWIGGYをはじめて15年目、当時『AVEDA』のアーティスティックディレクターでもありました。イタリア人である彼女のネイティブな考え方とインド・アフリカの知識に東洋医学を加えたのがナディアだとしたら、ネイティブアメリカンのインディアンにインドのアーユルヴェーダを反映させたのがAVEDA。世界一周したかのような融合で、頭皮と髪のことを勉強させてもらいました。

松浦さんの考えるヘアケアとは何でしょう

製品をつくるに当たり、勉強に勉強を重ねています。なんせ肌と髪の両方へのアプローチですからフィトセラピーの力だけでは難しくて、そこにはサイエンス(科学)の力がマスト。植物と鉱物(ミネラル)の間にサイエンスがくるんです。結果として、人間の生態系や地球環境を壊さないことを前提としたサイエンスの使い方。東洋医学と民間療法の融合を重視し、西洋医学的な薬だけに頼らず「食事療法」的な考え方を製品に反映させています。

私が特に大切にしているのは自然治癒力。毛根が生えない状況になっても生命力はあるんです。頭皮には再生力があるんだと皆さんに伝えたくって。それには日頃からメンテナンスをしておくことが欠かせません。

リニューアルした「TWI」のスカルプセラムには、素晴らしく進化されたナチュラル成分のフラーレンが配合されています。植物の力を根本としてつくられたサイエンスの一番いい結果がこのセラム。フラーレンの抗酸化力は、ビタミンCの約100〜200倍あるんです。それから、6年根人参エキスも入っていて、漢方医学、統合医療の見地からも認められている高麗人参は、6年根から作られた紅参がベスト。こういう知識のある人に「TWI」が好まれています。

直接日光が当たっている頭皮へのケアをしなくていいはずはありません。だからシャンプー&トリートメント以外のヘアケア製品を用意すべきです。

「ヘアクレンジングクレイ」にはシリカ(ケイ素)とクレイ(泥)が入っていて、そこにお米を融合しました。私も秋田で田んぼを借りて「米作り」に12年励んでいます。お米には粘着力、シリカには吸着力があるんです。頭皮に残すべきものと取り去るべきものを、配合したオーガニック成分が働きかけます。研究に5年の月日をかけ、販売して3年経過。今では他社からも似たようなものが出てきましたが(笑)、世の中が頭皮ケアに注目している証なので嬉しく感じていますよ。

「ユメドリーミング エピキュリアン」がスキンケアと同じグレードにしている理由は

頭皮は外気をあびて相当汚れています。肌をクレンジングするのと同じように、頭皮だって汚れを落とし切れるような製品でなくてはならない、という意識から。セットローションは、化粧水と同じ成分です。ヘアアイロン前に使うことで熱から髪を守り、熱によって逆にツヤツヤになる製法。「ヘアミストハード」の方は、髪にカールを残すために植物由来(えんどう豆)のタンパク質を配合しています。

”エピキュリアン”とは「満足」は「贅沢」という意味合いです。なので、このシリーズは食せるもの、スキングレードなものを意識して作った非常に贅沢な製品なんです。

頭皮ケアをする・しないでヘアスタイルの仕上がりに違いはありますか

当然あります。ヘアスタイルの仕上がりや持ちの違いは、頭皮の健康=根元の立ち上がりです。頭皮がペタンコなのはダメ。食べるものも影響してきます。腸で消化されなかったものが頭皮に重い「脂」として出てきます。

頭皮がふわっとしているのは可愛い印象に映ります。根元が立ち上がり、髪にツヤのある女性はキレイ。女性がキレイになると男性もステキになるでしょ(笑)。いい相乗効果です。セクシーよりもヘルシーな美しさを目指して欲しいって思っています。新しい時代の女性は絶対これ。

「梅雨」の季節は頭皮環境が悪くなりがちで、ヘアスタイルも決まりにくいです。そういうときこそ頭皮のクレンジングを忘れずに。とは言ってもクレイは週に1回で十分。髪につけるものはオイル系を避け、ミスト状のものや軽いムースがいいでしょう。パーマやカラーをやる場合も可能な限り「頭皮」に刺激が少ないものやテクニックを用いると良いと思います。

編集後記

今年は“頭皮ケア元年”だと話す松浦。「ユメドリーミング」発売から5年かかってようやく世の中が追いついてきたところだ。今後のヘアケア製品は、ますますサイエンスの力が進化していくであろう。サイエンスの力で新しいガンの細胞治療が発見されたように、髪という死んだ細胞に対してのアプローチはサイエンスによってもっと変わっていくはずだ。

できることなら植物の持つ力だけで製品をつくりたいところだが、やはりそれだけでは不十分。サイエンスの力が補われてはじめて“エピキュリアン(快楽)”なものがうまれるからだ。植物の力を最大限に活かせるサイエンスの良きバランスを真剣に考え研究を続けていくとともに、頭皮の話をしっかりできるヘアスタイリストでありたいと、松浦の飽くなき挑戦は続く。

プロフィール

ヘアサロン『TWIGGY』オーナー&ヘアスタイリスト。美容師・ヘアメイクを経て渡英。帰国後1990年に『TWIGGY』をオープン。サロンワーク、雑誌、広告、ショーなど多方面にてヘアアーティストとして活動。2003年、日本に上陸した『AVEDA』のアーティスティックディレクターに就任。5年に渡り商品開発やヘアスタイル提案に携わる。2014年、初のスタイルブック「どこから見ても美シルエット! 人気No.1ヘアスタイリスト 松浦美穂の3Dヘア」を出版。

松浦美穂
TWIGGY オーナー&ヘアスタイリスト

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